僕らが知らなかったものづくりの世界・技美術館 Waza-Museum 長野県職業能力開発協会技能振興センター

第54回技能五輪全国大会観戦記

2016.10.26 [技能五輪・技能競技]

参加された選手はもちろん、送り出された企業・団体・学校・ご家族のみなさん本当にお疲れ様でした。
今回も大変見どころの多い大会となりました。

まずは、昨年に続いてのオリオングループ(オリオン機械株式会社・オリオン精工株式会社)の大活躍でしょう。参加した「冷凍空調技術」職種では前回大会で初めて獲得した金賞に続く二連覇となり、表彰台に上った7名の選手のうち4名が同グループという快挙でした。金賞獲得者発表時には菅沼幸希さんの歓声とスタンドからの一際大きな歓声が、「今回どうしても勝ちたかった」という気持ちの表れのように感じ、まさに同職種における「オリオン時代」の到来を予感させる結果となりました。

続いては、株式会社セイコーエプソンが獲得した3つの金賞です。(その他、銀1つ、銅2つを獲得)
「時計修理」職種は前回に続く二連覇で、表彰台の澁井智行さんが感涙の男泣きでした。「抜き型」職種においては、前回大会も出場した(敢闘賞を獲得)の宮坂逸仁さんが、前回覇者の(株)デンソー宮脇さんを破っての金賞獲得(同職種の金賞獲得は県勢初)。「ウェブデザイン」職種では、佐野 梓さんが第51回大会につづいて二回目の金賞獲得となりました。

そして、「タイル張り」職種では、やはり前回大会に出場した(銅賞獲得)柏原拓実さんが、金賞を獲得しました(同職種の金賞獲得は県勢初)。彼のお兄さんである柏原貴徳さんは長野大会(第50回大会)に出場し、銀賞を獲得していますが、柏原拓実さんにとって兄を超えると云う意味で、是非欲しかった金賞だったのかもしれません。

今回5人の選手はいずれも前大会以前から出場しており、そういった意味からも気持ちの強さが必要なのだと感じる金賞獲得でした。よく「無欲の勝利」という言葉を耳にしますが、それはおそらく競技のなかでの集中に必要な心持ちをいうのでしょう。本当に必要なのは「一番になりたい」「どうしても勝ちたい」という強い気持ちなのかもしれません。普段の生活や練習にそういった気持ちの強い者が勝つと感じる結果だったように思います。

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ところで先日、技能五輪に毎年のように選手を送り込んでいる社長さんにお話を伺いました。
それは、「会社にとって技能五輪とはどんな意味がありますか?」と云うものです。技能五輪に参加することは会社にとって大きな負担です。費用の面だけではなく、練習時間、環境、指導者、周囲の理解などその負担は様々です。

社長さんはこのように話してくださいました。
「うちのような企業にとって確かに負担は小さくないです。選手にとっても同じです。仕事の合間を縫っての練習。強要してませんが自主練習も必要です。それをやらないと駄目ですね。やり出すと人間変わります。大会が近くなると、それこそ休み返上で練習してますので、見てると本当にきつそうです。あれを見るとね、周囲も理解してくれます。でも、五輪参加を条件で高校生(新卒)を採用したけれど、先輩の練習する姿を見ていたら、私できませんて、云われて(笑)。それに2年続けて出てた子がいたんだけど、3年目は期待できそうだと思っていたら、もう出られませんて云われて、もったいないなあって。技能五輪は誰でも出られるわけではありません。若い時だけです。私も出たいですけど出られませんから。だからこそ、その経験は彼らにとって財産なんです。彼らも今は、分からないかもしれないけど、いつか分かる時が来ます。会社に還してもらうのはそれからですね。ずっと先です。」

この話を伺ったとき、本当に頭が下がる思いでした。
おそらく、このような考えの企業の方は多くはないでしょう。むしろ少数派なのかもしれません。ただ、技能五輪に出場することが、「貴重な経験」だと云うことは、共通の認識としてあるのかと思います。
ですから、今回納得できる結果の出た選手も、そうでなかった選手も、どうかこの「貴重な経験」を胸に前へ進んでほしいと思います。

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